締・緊・閉(読み)しまる

精選版 日本国語大辞典 「締・緊・閉」の意味・読み・例文・類語

しま・る【締・緊・閉】

[1] 〘自ラ五(四)〙
① ゆるみがなくなる。しめつけられる。きつくなる。
※応永本論語抄(1420)述而第七「中へ鳥をいこめて後を自口のしまるやうにしたる者也」
※門(1910)〈夏目漱石〉一「切り開く時に根丈は堀り返さずに土堤の中に埋て置いたから、地は存外緊(シマ)ってゐますからね」
② 戸などがかたくとざされる。しめきられる。また、店の営業を終える。閉店する。
※俳諧・猿蓑(1691)四「もものはな境しまらぬかきね哉〈烏巣〉」
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉二「いつも障子が締(シ)まってゐたり、簾(すだれ)が降りてゐたりして」
③ 物事の状態がきちんと整う。
日葡辞書(1603‐04)「Ximatta(シマッタ) クニ」
④ 顔や体つきがきりっとひきしまる。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一〇「緊結(シマリ)たる口と高き鼻には」
⑤ 態度や心構えがしっかりしている。精神やからだが緊張する。
※日葡辞書(1603‐04)「Ximatta(シマッタ) ヒト」
※絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初)「只大賓大祭と云へば、自然に心のしまって適(ゆ)く」
⑥ 身持ちがかたくなる。遊蕩しなくなる。
咄本・喜美賀楽寿(1777)とら息子「親ごの息才な内から、ちっとしまって、年のよった親ぢどのに、安堵させたがよい」
金銭のむだづかいをしなくなる。倹約する。
※落語・水中の球(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「一度(いっぺん)は金銭を使っても家持(シマ)る時にキチンとしまれば少し位使っても構はん
※行人(1912‐13)〈夏目漱石〉友達「外へ出る夫の懐中にすら、ある程度の束縛を加へる位締(シマ)ってゐる」
⑧ 相場がいくらか堅実になる。また、あがりぎみになる。
⑨ 計算や相談がまとまる。成立する。
浮世草子武道伝来記(1687)八「金三枚と申出すを拾弐両より十五両迄望しに、大かた談合しまりて」
[2] 〘他ラ四〙
① かたく結ぶ。しっかりと固める。
古事記(712)下・歌謡「大君の 御子の柴垣 八節(やふ)士麻理(シマリ) 斯麻理(シマリ)(もとほ)し」
② しっかりと取り締まる。よく治める。ゆきとどいた監督をする。
続日本紀‐文武元年(697)八月一七日・宣命「緩(たゆ)み怠る事無く、務め結(しまり)て仕へまつれと詔(のたま)ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android