綱浦・津奈(読み)つなうら・つな

日本歴史地名大系 「綱浦・津奈」の解説

綱浦・津奈
つなうら・つな

対馬の西海にしめの中央部にある入江浦口こうノ島・なかノ島・えのき島からなる綱島(無人)が横たわって天然の良港になっており、古来外洋に渡航する船の泊地であった。綱は津奈とも記すが、ナは浦で津の浦ということになる(津島紀事)。入江の北部に小綱こつな、東に大綱おおつな、南に志多浦したのうらと称する集落があり、綱浦はこれら集落の総称でもある。沿岸に弥生時代後期の広形銅矛を出土した遺跡が多く、航路の安全を祈願する祭を行ったものかという。「万葉集」巻一六に無名の歌として「角島の迫門の稚海藻は人のむた荒かりしかどわがむたは和海藻」とある角島を綱島に比定する説がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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