絶て(読み)たえて

精選版 日本国語大辞典 「絶て」の意味・読み・例文・類語

たえ‐て【絶て】

〘副〙 (動詞「たえる(絶)」の連用形助詞「て」が付いてできたもの)
① 否定表現を伴ってそれを強調する。すこしも。全然。一向に。さっぱり。
※竹取(9C末‐10C初)「此めの童(わらは)は、たへて宮仕つかうまつるべくもあらずはんべるを、もてわづらひ侍り」
伊勢物語(10C前)八二「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」
② 否定的・悲観的なことばや表現を伴って、それを強調する。転じて、肯定的な文脈でも用いる。まったく。まことに。
古今(905‐914)恋二・六〇一「風ふけば峯にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か〈壬生忠岑〉」
③ (「絶えて久しい」の意味を含めて) 久しく。ずっと。
※読本・雨月物語(1776)仏法僧「絶(タエ)紹巴説話(ものがたり)を聞かず」

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