細胞病理学(読み)さいぼうびょうりがく

百科事典マイペディア 「細胞病理学」の意味・わかりやすい解説

細胞病理学【さいぼうびょうりがく】

フィルヒョー著書。1858年刊。臨床医に対して行った講義をまとめたもの。人体細胞共和国にほかならないとし,病気原因も個々の細胞にあり,細胞の栄養的・機能的・形態的変化にこそ疾病本体があるとした。これによって旧来の思弁的な液体病理学から近代的病理学への前進がもたらされた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細胞病理学」の意味・わかりやすい解説

細胞病理学
さいぼうびょうりがく
cellular pathology

ドイツ病理学者 R.ウィルヒョーが提唱した病理学説。病理学を細胞学的に考究し,「細胞は細胞より」の標語を立て,すべての疾病は細胞の異常に基づくとした。それまで唱えられていた体液病理学や固体病理学に対立する発想で,医学進歩に大きな影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内の細胞病理学の言及

【病理学】より

…モルガーニには病理発生pathogenesisの観点が欠けることが批判されているが,病気に取り組む病理学者としての基本的態度は,以後200年間,引き継がれて現在に至っている。 病理学はそれ以後,イギリスのベーリーMatthew Baillie(1761‐1823),J.ハンター,フランスのJ.N.コルビザール・デ・マレ,R.T.H.ラエネク,ドイツのJ.P.ミュラーらを経て,R.フィルヒョーの細胞病理学へと展開していく。フィルヒョーは,近代病理学の祖といわれるように,生命現象の最小単位が細胞であること,細胞の活動とその総和が個体をつくりあげていること,病気という生体の反応においても,その基盤を担うのは細胞の活動であることを述べ,旧来の液体病理学,固体病理学を否定した。…

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