細川村
ほそがわむら
[現在地名]福部村細川
塩見川下流東岸に位置する。古代山陰道「佐尉」駅（「延喜式」兵部省）が当地にあったとする説があり、同道の後身と考えられる但馬往来（岩井往来とも称した）が東の駟馳山峠を越えて大谷村に抜ける。南には細川池があったが、寛政（一七八九―一八〇一）の頃にはほぼ埋立てられ水田化していたという。北部に支村の岩戸村がある。「因幡志」によれば「享保年中以後」別村としたというが高付されず、安政五年（一八五八）の村々生高竈数取調帳には、領内限りで一村とみなされ村役人も別に置かれたが、下札は分けずに記載しているとある。
細川村
ほそかわむら
[現在地名]明日香村大字細川
上居村の東、細川（冬野）川上流地域に立地する。「日本書紀」天武天皇五年五月の条には「南淵山、細川山を禁めて、並に蒭薪ること莫れ」という記事があり、細川山は岡寺東方、標高五二三メートルの山とされる。「万葉集」巻七に「南淵の細川山に立つ檀弓束纏くまで人に知らえじ」、同巻九に「ふさ手折り多武の山霧しげみかも細川の瀬に波の騒ける」の歌がある。
慶長郷帳には「細河村」、元和郷帳では「細川谷村」と記す。文禄検地は細川村（上居・尾曾・上村を含む）高六三〇・七八石。
細川村
ほそかわむら
[現在地名]岡崎市細川町
西は矢作川を挟んで渡刈村（現豊田市）、北部は矢作川の支流巴川を隔てて渡合村（現豊田市）に接する。東に村積山を仰ぎ、南部は仁木村に接する。集落は、村積山麓が矢作川へ延びる丘陵地に点在し、中央を塩の道足助街道が通る。字長井に同形同大で東西相接する二個の円墳がある。俗に二子塚とよぶ。「三河古今城塁誌」に「細川村古城、御前田トイフ処細川讃岐守頼春、同武蔵守頼之」とあり、足利氏の時代に細川頼春・同頼之が字御前田の地に城郭を構え居を定めたと伝える。
寛永一七年（一六四〇）郷帳高七三二石余。享保元年（一七一六）に一部幕府領となる。天明（一七八一―八九）頃の幕府領のみの村差出明細帳（立教大学蔵）によれば石高一七七石余、家数二七で、田方の用水留井二ヵ所・用水溜池一ヵ所があり、新畑に麦・粟・稈等を作る。
細川村
ほそかわむら
[現在地名]高野町細川
西郷村の西南に位置し、北流して紀ノ川に注ぐ不動谷川の最上流域の谷間に集落が散在する。北は笠木村（現九度山町）、西南は花坂村。「続風土記」は「村居六箇所に分れ、各小名あり」として西細川・東細川・中村・池峯・裏神谷・神谷辻をあげる。天正一九年（一五九一）一〇月日付の高野山寺領注文（勧学院文書）に「東ほそ川」として一一五・三石が記されるが、慶長一〇年（一六〇五）七月吉日付の高野山衆徒中寺領目録（又続宝簡集）では「伊都郡六ケ細川村」として高一一〇石を記す。
細川村
ほそかわむら
[現在地名]橋本市細川・紀見・城山台
胡麻生村の北、葛城（和泉）山脈中腹を流れる東谷川に沿って集落が散在。相賀庄惣社大明神神事帳写（相賀大神社文書）所収の天授三年（一三七七）頃の文書によれば、相賀大神社八月放生会に細川村は米一斗を納めている。応永二〇年（一四一三）一一月一五日付の葛原明観譲状（隅田家文書）によれば、明観が子息二郎三郎に譲った土地の西境が「ほそかわ」であった。
慶長検地高目録による村高二九九石余、小物成七斗四升九合。上組に属し、慶安四年（一六五一）の上組在々田畠小物成改帳控（土屋家文書）には村高・小物成は上村分と下村分に分けて記される。上村の高一七五石余、小物成は茶一〇斤余、紙木三束、漆二斗余、下村の高一二五石余、小物成は茶一一斤余、紙木一束、桑二束。
細川村
ほそかわむら
[現在地名]大津市葛川細川町
貫井村の北、安曇川上流の葛川谷の最北の村で、北は朽木谷の栃生村（現高島郡朽木村）に接し、若狭街道沿いに集落がある。元徳三年（一三三一）九月の明王院所当并散在年貢注文（葛川明王院史料）に「ホソ川」とみえる。元亀二年（一五七一）明王院本堂の舞台普請役として「細河」は人夫二一人を負担している（四月二七日「舞台普請日記」同書）。正保郷帳に村名がみえ、高一〇三石余で幕府領。元禄一一年（一六九八）堅田藩領、文政九年（一八二六）より下野佐野藩領。元禄郷帳では八二石余。曹洞宗龍松寺、八幡神社がある。
細川村
ほそかわむら
[現在地名]鳳来町細川
真立川の流域にあり、南の六郎貝津村とは集落で接し、南の下吉田村、東の巣山村、北の名号村、西の能登瀬村・井代村とは山で接する。秋葉道は村はずれから、谷の東側の巣山坂（四十四まがり）を登ったが、現在の自動車道は八昇峠を越す。天正一八年（一五九〇）吉田藩領、慶長五年（一六〇〇）徳川氏領、同八年幕府領となる。
細川谷は地味が肥沃で、杉・檜の発育に良い。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
