紅二代(読み)こうにだい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅二代」の意味・わかりやすい解説

紅二代
こうにだい

中国共産党の元高級幹部の子弟で構成されるグループ「太子党」のうち、1949年の新中国成立の前に共産革命に参加し、日中戦争や中国国民党との内戦で貢献した幹部たちの子女呼称。一方、戦争を経験せず平和な時代に党や政府の指導者となった幹部らの子女は「官二代」とよばれる。たとえば、1928年に共産党に入党した習仲勲(しゅうちゅうくん)(1913―2002)元副首相を父親にもつ習近平(しゅうきんぺい)国家主席は紅二代であるが、1964年に共産党に入党した胡錦濤(こきんとう)前国家主席の長男、胡海峰(こかいほう)(1971― )嘉興(かこう)市共産党委員会副書記は官二代とよばれる。紅二代の父母は「共産革命のために血を流したことがある」として、太子党のなかで、官二代より格上とされている。しかし、紅二代は高齢化が進んで現役を退く人が増えており、これに対し官二代が頭角を現し、太子党の主流になりつつある。

[矢板明夫]

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