米穀市場(読み)べいこくしじょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「米穀市場」の意味・わかりやすい解説

米穀市場
べいこくしじょう

米の交換,売買の行なわれる市場。江戸時代には江戸,大坂に米市場が成立しており,各地からの廻米が送られ売買が行なわれていた。明治に入ると現物取引を行なう正米取引所だけでなく,米商会所の名で投機市場も各地に設けられた。1939年に米穀配給統制法が施行され,こうした米穀市場はいずれも廃止された。1942年には食糧営団が設立され,米の流通機構の一元化が行なわれた。第2次世界大戦後,1947年に営団は食糧配給公団に改組され,さらに 1951年には公団も廃止された。食糧管理法食糧庁などの規制管理のもとでは,生産者→政府買い上げ→米穀商→消費者というルートのほかに,価格決定において政府指定業者間での取り決めを認めた自主流通米ルート,特別栽培米(有機栽培米)の生産者と消費者の直接取引ルートがあった。食糧庁は自主流通米市場においても入札の値幅を制限するというかたちで価格決定の指導管理を行なっていたが,自主流通米を流通の中心に位置づけ,政府による規制をいっそう緩和し,価格形成に市場原理導入をはかるため,1990年に自主流通米価格形成機構が設立され,入札取引が始まった。1995年に食糧管理法が廃止され,代わって施行された主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律食糧法)に基づき,入札を通じて米取引の適正な価格形成を担保するために自主流通米価格形成センターが設けられ,国による全量管理から民間主導へと大きく変わった。2004年の食糧法改正により,計画流通制度が廃止され,同センターの法律上の名称は米穀価格形成センターに変わった。一方,計画流通制度がなくなったことにより義務上場も廃止され,相対取引が主流になった。取引量の激減でセンターとしての機能が果たせなくなり,2011年に同センターは解散。米の流通はほぼ自由化された。

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