築地松(読み)ツイジマツ

デジタル大辞泉 「築地松」の意味・読み・例文・類語

ついじ‐まつ〔ついぢ‐〕【築地松】

出雲平野に見られる独特の屋敷林。川の氾濫に備えた盛土に、古く広葉樹や竹が植えられたが、明治以降、クロマツが植えられ、大きな壁のような独特な形に刈り込まれるようになった。強風西日を遮るため、北と西の二面に設けられることが多い。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の築地松の言及

【生垣】より

…また,強風地帯にはしばしば防風のための高垣がつくられる。関東地方の農村にはシラカシの高垣があり,島根県出雲地方の築地松(ついじまつ)といわれるクロマツの高垣はその地方独特の景観をつくっている。また,外国ではイギリスのヘッジローhedgerowのように,農地と農地,農地と共有地,村と村の境界をかたちづくり,地域の自然保存の役割も果たす大きな生垣もある。…

【出雲平野】より

…河間や自然堤防の微高地にみられる北島,蔵島などの島のつく地名は,低湿地を避け旧河道跡に立地した小塊村を示しており,自然堤防の後背湿地や出来洲(平田市東部)付近の低湿地では散村の典型を示している。平野は東西系統,とくに西よりの風が強く,軟弱な地盤の安定を兼ねた屋敷森の築地松が防風林の役目も果たした。築地松は平野東部の散村に古くからみられる景観で,家格により樹種,密度,刈込みなどに差があるといわれる。…

【屋敷】より

…母屋は屋敷囲いの中央より後方に建てられ,母屋の南面の空地は作業場,乾燥場として利用され,それを〈かど〉〈かどにわ〉などと呼んだ。平坦地農村の百姓の屋敷には,その北側から西北にかけて屋敷林を備えるものがあり,防風,防暑,防火,燃料・用材の採取などを目的にして竹,雑木,松,杉などを植え,これを〈いぐね〉(東北),〈くね〉(関東),〈築地松(ついじまつ)〉(出雲)などと各地各様に呼びならわした。 領主の軍事,政治,経済の拠点としての城下町の建設過程では,城郭を中心に,その周囲に武家屋敷を置き,その周辺に年貢免除の町屋敷を配置し,町割(まちわり)に従って職業別に町屋(まちや)を配列して同業者町を形成した。…

【屋敷林】より

…農家の屋敷内につくられた樹林で,多様な目的,用途をもち,いずれも農家の生活,経済と密接な関係をもつものである。屋敷の外縁に沿ってつくられるものは主に境界を区分するとともに防風,防火,防砂などの防災効果を期待するもので,冬の季節風の強く吹く地方では防風効果が大きく,島根県の斐川(ひかわ)平野にみられる築地松(ついじまつ)や関東平野にみられるケヤキ,カシ類などからなる屋敷林はその一例である。これらの外縁の林の内側や屋敷内の一部にスギ,ヒノキ,ケヤキ,カシ類,ナラ類などが用材や燃材の採取を目的として造成され,しばしば竹林がたけのこや竹材の生産を目的としてつくられた。…

※「築地松」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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