筋萎縮・筋力低下・運動麻痺のみかた

内科学 第10版の解説

筋萎縮・筋力低下・運動麻痺のみかた(神経疾患患者のみかた)

(5)筋萎縮・筋力低下・運動麻痺のみかた
 筋の容積の変化である萎縮,ないし肥大は視診により評価できる.萎縮筋は触診しても正常筋よりも薄く,やわらかい.神経原性,あるいは筋原性の筋萎縮でなく,廃用による場合もある.
 握力のように数値化できない筋力は,徒手筋力検査法によって,重力に抗して運動が可能であるかを中心として,表15-1-3のように6段階で評価する.目的とする主動筋を同定し,重力に抗する場合には正しい姿位で評価することが肝要である.ここで評価している筋力は最大筋力ではなく,持続的な筋力でもない.また,この方法では4レベルが非常に広くなるため,4−,あるいは4+のようにプラスやマイナスをつけて左右差を表したり,4レベルのなかでも軽度の抵抗に打ち勝てない場合を4−,ある程度強い抵抗にも打ち勝てる場合を4+と記載したりする.
 軽度の運動麻痺を検出するには,上肢では閉眼して手掌を上に向け,上肢を前方まっすぐ床と平行に挙上する方法が有用であり,軽度の錐体路障害では患側が回内し,低下するBarré徴候が陽性となる.下肢でも,腹臥位で膝を45度屈曲すると,患側が低下する(下肢の)Barré徴候,あるいは仰臥位で膝を屈曲して両足を床と平行に挙上すると,患側が低下するMingazzini徴候が有用である.
 筋力低下は近位筋優位であるか,あるいは遠位筋に目立つか,さらに単麻痺か,半側性の片麻痺か,両下肢対称性の対麻痺かなど,その分布をよく確かめる.筋疾患は一般に近位筋優位,下位運動ニューロン障害では一般に遠位筋優位となる.上位運動ニューロン障害では,上肢は伸展障害,下肢では屈曲障害が優位となり,片麻痺では上肢が屈曲,下肢が伸展したWernicke-Mann姿位をとることになる.[西澤正豊]
■文献
水澤英洋,宇川義一編著:神経診察:実際とその意義,中外医学社,東京,2011.水野義邦編:神経内科ハンドブック 鑑別診断と治療 第4版,医学書院,東京,2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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