竹乃里歌(読み)たけのさとうた

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竹乃里歌」の意味・わかりやすい解説

竹乃里歌
たけのさとうた

正岡子規歌集。 (1) 子規の自筆稿本で約 2000首。伊藤左千夫の手に渡ったが,左千夫の没後失われた。 (2) 1898年刊。 (1) の歌のほかに,長歌短歌など俳句革新運動に入ってからの作品も加えられている。 (3) 1904年刊。子規の自筆稿本から左千夫らが 571首を選び,『子規遺稿』第一編として刊行。 (4) 56年刊。 54年になって発見された子規の自筆稿本を土屋文明,五味保義らの校訂により刊行。いずれも俳句によって開眼した写生の精神を和歌に導入し,万葉風の調べにのせて独自の歌風を切り開いたもので,晩年の作には病者としての鋭い観察眼が感じられる。

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