竜神温泉(読み)りゆうじんおんせん

日本歴史地名大系 「竜神温泉」の解説

竜神温泉
りゆうじんおんせん

[現在地名]龍神村龍神

日高川の上流、湯本ゆもとに湧出する。渓流と間近にせまる山々に囲まれた幽な温泉。初め有田郡山保田やまのやすだ上湯川かみゆかわ湯平ゆだ(現清水町)に湧き出ていたが、いつの頃からかこの地に変わったという(続風土記)。また一説には役小角が開き、弘法大師難陀竜王の夢告によって衆人に勧めた温泉といい、竜神の名もこれにちなむともいう(竜神みやげ)。温泉の裏山に弘法大師が夢告を受けた時に名付けたという曼陀羅まんだら滝がある。

竜神温泉の発展は紀州徳川家初代頼宣の保護によるようで、宝永七年(一七一〇)一一月付の奉願覚(玉置氏記録「日高郡誌」所収)に「竜神村之内湯本之儀先年人家無御座空地にて御座候処、南竜院様御入湯被遊由にて在家六軒御建させ、近在百性に被下置湯本罷出申候、其節被仰出候自今湯本へ罷出家建候者屋舗地無年貢に可被成下との御事にて其以後段々家建」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報