稲持遺跡(読み)いなもちいせき

日本歴史地名大系 「稲持遺跡」の解説

稲持遺跡
いなもちいせき

[現在地名]三加茂町加茂

吉野川右岸、標高七三―七六メートルの沖積地に位置。昭和六一―六二年(一九八六―八七)に橋梁新設工事に伴い発掘調査が実施され、縄文時代晩期、弥生時代中期末―古墳時代初頭、古墳時代後期、平安時代後期の遺構を検出した。

縄文時代の遺物は後期後半の土器微量出土したが、主体は晩期前半である。後続する突帯文土器も少量出土した。中国・四国地方では晩期前半の遺物は出土量が少なく、中部瀬戸内の香川県善通寺市永井ながい遺跡とともに重要な位置を占める。晩期前半の遺構が集中して出土したのは調査区中央の東流する幅一五メートルの自然流路北岸の幅約三〇メートルの部分で、二層に分層可能な包含層と集石遺構二基、住居状遺構一軒、屋外炉一基、土坑一一基が確認された。出土した土器はおおむね滋賀里IIIa式に併行すると考えられているが、やや古い要素や他地域の土器を含んでおり、なお検討が必要であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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