科学技術会議(読み)かがくぎじゅつかいぎ

改訂新版 世界大百科事典 「科学技術会議」の意味・わかりやすい解説

科学技術会議 (かがくぎじゅつかいぎ)

科学技術政策を総合的にかつ重点的に推進するために,内閣総理大臣諮問機関として1959年に総理府に設けられた。科学技術一般に関する基本的また総合的政策に関し,また長期的,総合的な研究目標の設定などについて諮問を受けて答申し,また答申後に意見を述べる。おもなものとして数年ごとに〈科学技術振興の基本方策〉(いわゆる長期計画)の答申を行っている。会議は内閣総理大臣を議長とし,科学技術庁長官,文部大臣ほか関係閣僚,日本学術会議会長ならびに学識経験議員5人(うち2人は常勤)から成る。ほかに専門委員を任命し,下部部会幹事会(関係各省の幹事から成る)が設けられる。会議の事務は科学技術庁計画局において総括して担当する。

 元来この会議は,大学研究を所管する文部省と,これを除く一般の科学技術行政の総合調整に当たる科学技術庁の業務を大所高所から調整し,また各省行政との調和を図りつつ科学技術政策を強力に推進することをねらって設立されたものであるが,問題の困難なこともあり十分成果を収めてきたとはいえない。83年の臨時行政調査会論議において,総合的見地からの科学技術政策の調整,推進を図るための科学技術会議の役割強化が指摘されたことをふまえ,産・官・学の特別委員を加えた政策委員会を設け,会議の活性化が進められている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「科学技術会議」の意味・わかりやすい解説

科学技術会議
かがくぎじゅつかいぎ

1959年(昭和34)に設置された旧総理府本府の一機関であり、科学技術政策に関する審議機関であったが、2001年(平成13)1月、総合科学技術会議が設置されるとともに廃止された。科学技術会議は、内閣総理大臣を議長とし、大蔵大臣、文部大臣、経済企画庁長官、科学技術庁長官、日本学術会議会長、学識経験者(5名)からなっていた。内閣総理大臣は、科学技術(人文科学のみにかかわるものを除く)に関し、基本的・総合施策の樹立などにつき、総合調整の必要があるとき会議に諮問しなければならなかった。答申後も、内閣総理大臣に意見を述べる権限を与えられた。その後、科学技術政策の重要事項を適時、的確に処理し、機動的・弾力的な科学技術政策の展開を図るため、学識経験者を含む各界の有識者で構成される政策委員会も設置され、さらに、科学技術基本法(1995年11月施行)において、政府は、科学技術基本計画を策定するにあたっては、科学技術会議の議を経なければならないことも定められ、科学技術政策におけるその役割の重要性が増していた。科学技術会議の答申として、たとえば「ライフサイエンスに関する研究開発計画について」や「未来を拓(ひら)く情報科学技術の戦略的な推進方策の在り方について」の諮問に対する答申がある。

[平田和一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「科学技術会議」の意味・わかりやすい解説

科学技術会議
かがくぎじゅつかいぎ

科学技術政策の樹立についての内閣総理大臣の諮問機関。議長と議員 10人から構成される。議長は内閣総理大臣で,議員は当時の大蔵大臣,文部大臣,経済企画庁長官,科学技術庁長官,日本学術会議会長,および学識経験者5人である。 1959年に設置されてから,諮問第1号『「10年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申』 (1960) ,第5号『「1970年代における総合的科学技術政策の基本について」に対する答申』 (71) などをまとめてきた。また政府は,『「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策について」に対する答申』 (92) を受けて,科学技術政策大綱を閣議決定している。 2001年の中央省庁改編に伴い,総合科学技術会議として再発足した。

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世界大百科事典(旧版)内の科学技術会議の言及

【科学技術政策】より

…1985年職業能力開発促進法と改称・改正)が制定された。さらに科学技術政策を強力,総合的に進めるための審議機関として,59年内閣総理大臣を議長とする科学技術会議が発足した。一方,新しい研究分野に対する研究機関の新設・整備が進められた。…

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