祝の水(読み)いわいのみず

精選版 日本国語大辞典 「祝の水」の意味・読み・例文・類語

いわい【祝】 の 水(みず)

① (養老の滝の故事で「千代のためしを松陰の岩井の水は薬にて」〔謡曲・養老〕と称されて薬とされた「岩井の水」から)
(イ) 新年を祝うために汲みあげる井戸水。若水(わかみず)
※浮世草子・好色二代男(1684)一「千(せんくゎく)万亀(ばんき)の祝(イハ)ひの水(ミヅ)(くむ)とおもへば」
(ロ) 酒、特に婚礼に用いる酒。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)四「分(わけ)悪しからぬやうに取持て、首尾能(よく)請けて来てくれ、祝(イハヒ)の水は呑み込んでゐる」
② 水祝い、水あびせに用いる水。婚礼習俗の一種で、嫁入りや婿入りの時、または新婚最初の正月の初詣の帰りなどに若者たちが新郎にかける水。
歌舞伎傾城浅間嶽(1698)上「『されば巴之丞(ともゑのじょう)殿音羽の前との祝言が済んだ故、水浴せを致します』〈略〉『祝(いは)ひの水(みづ)を下されうとあるは忝い』」

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