石製合子(読み)せきせいごうす

改訂新版 世界大百科事典 「石製合子」の意味・わかりやすい解説

石製合子 (せきせいごうす)

蓋のある石製容器の一種合子)。エジプト先王朝時代や中国の殷代などにもあるが,日本では古墳時代副葬品として出土する。碧玉製と滑石製とがある。碧玉製品には,直径3~10cmの円い平面形をなし,底部四方に短脚をそなえたものと,楕円形で無脚のものとがある。これらは4世紀の古墳から出土する。一方,滑石製品は,楕円形の無脚品に限られ,5世紀の遺品である。碧玉製品よりも大きいものが含まれ,長径21.5cm,短径15.5cm,高さ18.0cmをはかる京都府城陽市平川車塚古墳出土品は,石製合子として最大である。蓋(ふた)はいずれもかぶせ蓋である。蓋と身とを紐で結縛するための対孔をうがったものがあり,碧玉製の円形品はほぼ例外なくこの孔をそなえている。蓋外面および身側面は,綾杉文などで加飾される。碧玉製品のなかでも古く位置づけうる小型の円形品には加飾が少なく,滑石製品もまた飾られない。なお,合子には土製品もある。
石製容器
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