知召(読み)しろしめす

精選版 日本国語大辞典 「知召」の意味・読み・例文・類語

しろし‐め・す【知召】

〘他サ四〙 (「しらしめす(知召)」の変化した語)
① お知りになる。承知しておられる。おわかりでいらっしゃる。
書紀(720)神功摂政前(北野本南北朝期訓)「皇后(きさいのみや)則ち、神(かむ)の教(をしへ)の験(しるし)(あ)ることを識(シロシメシ)て、更(さら)神祇祭祀(いのりまつ)る」
源氏(1001‐14頃)若紫「『なにがし、此の寺にこもり侍り』とは、しろしめしながら」
② お治めになる。天皇が統治なさる。しらしめす。
※書紀(720)武烈即位前(図書寮本訓)「是に太子有司に命せて壇場を泊瀬の列城(なみき)に設けて、天皇位陟(シロシメス)
平家(13C前)一一「ただ世のみだれをしづめて、国をしろしめさんを君とせん」
③ 管理なさる。また、お世話なさる。
※源氏(1001‐14頃)須磨「御倉町、納殿などといふことまで、少納言をはかばかしきものに見置き給へれば、〈略〉しろしめすべきさまどものたまひ預く」
[補注]「しろす」という単独の語形の確例はなく、「しらしめす」の形から「しろしめす」に変化したものと考えられる。平安時代以降は「しろしめす」の例だけであるが、上代では、「しらしめす」の例だけで、「しろしめす」の確例はない。

しらし‐め・す【知召】

〘他サ四〙 (動詞「しる(知)」に上代の尊敬助動詞「す」の付いた「しらす」に、さらに尊敬の補助動詞「めす」の付いたもの) お治めになる。天皇が統治なさる。しろしめす。
古事記(712)上「故、各依(よ)さし賜ひし命の随(まにま)に、所知看(しらしめす)中に、速須佐之男の命、命(よ)さしたまへる国を治(し)らずて」

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