睡眠不足症候群(読み)すいみんぶそくしょうこうぐん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「睡眠不足症候群」の意味・わかりやすい解説

睡眠不足症候群
すいみんぶそくしょうこうぐん

慢性的な睡眠不足が3か月以上続き、日中の強い眠気やだるさ、いらいら感や集中力低下などをきたす状態。おもな症状としては、昼過ぎからの強度の眠気および倦怠(けんたい)感、集中力に加えて思考力や判断力の低下、ちょっとしたことでいらだち攻撃的になること、突然不安におそわれることなどがあげられる。社会生活上でも支障をきたして仕事上のミスが増えたり他者とのトラブルを起こしたりする。成人に最適とされる睡眠時間は7時間前後とされているが、極端な場合は平日に毎日3~4時間くらいしか眠らず、そのぶん休日に10時間以上の過眠となるケースも多い。本人にそのことが認識されていないことも多くみられる。

 極端に少ない睡眠時間の連続では生活上のリズムが狂いがちとなり、食生活も不規則になりやすいことから肥満となるリスクも高まる。また覚醒(かくせい)を保とうとして交感神経興奮作用のあるアドレナリンなどが分泌され、少量のアルコールを摂取したときと似た状態となり、血圧が上昇したり、心拍数が増加したりする。さらには免疫力の低下からアレルギー疾患にかかりやすくなり、心疾患や脳血管障害などを起こす原因ともなる。厚生労働省は、こうした心身の健康と密接にかかわる眠りの質を向上させようと「睡眠指針」を策定し、睡眠について正しい知識を身につけ、定期的に自らの睡眠を見直して適切な量の睡眠を確保し、睡眠の質の改善も含めて睡眠障害早期から対応するようよびかけている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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