真空脱ガス炉(読み)シンクウダツガスロ

化学辞典 第2版 「真空脱ガス炉」の解説

真空脱ガス炉
シンクウダツガスロ
vacuum degassing furnace

大気炉で溶解した金属溶湯のなかに溶解しているガスを取り除く目的の真空炉のこと.大きく分類して取りなべ脱ガス法および流滴脱ガス法の二つの方法がある.取りなべ脱ガス炉は,ある程度過熱した溶湯を満たした取りなべを真空槽のなかに入れ,電磁かくはんまたはガスかくはんしながら真空に引くと,溶湯ははげしく沸騰を起こし,溶湯中のガスが引き出される.この方法で取り除かれるガスは,主として水素であるが,そのほか,少量の酸素,窒素も同時に脱ガスされる.一方,流滴脱ガス炉では空の取りなべを真空槽のなかにあらかじめ設置し,タンク内をポンプを使って排気する.上部の溶湯注入口はアルミ板あるいは銅の薄板などでふたをしておく.溶湯を満たした取りなべをこの真空槽の上に気密に置き,取りなべのストッパーを引き上げると,溶湯はふたの金属薄板を溶かし流滴となってあらかじめ据え置かれた槽内の取りなべに集められる.真空中でこの流滴状の鋼粒から脱ガスが行われる.この脱ガス法は鋼粒の表面積が大きいため脱ガス効果は大きいが,滴下時間が短いために,拡散速度の大きい水素を除いてはあまり脱ガスは期待できない.このほかにRH法およびドルトムント法がある.[別用語参照]真空冶金

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報