盧思道(読み)ろしどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「盧思道」の意味・わかりやすい解説

盧思道
ろしどう
(531?―582?)

中国、隋(ずい)の文人。字(あざな)は子行。范陽(はんよう)郡涿(たく)(河北省)の人。才を誇り人を侮ることが多かったため、官界での出世は順調でなかった。北斉(ほくせい)、北周、隋の三代に仕え、文名によって同時代の薛道衡(せつどうこう)としばしば並称される。南北朝末期の大詩人庾信(ゆしん)の賞賛を受けたこともあり、世評も高かった。南朝の艶麗(えんれい)な文学的手法を学びつつ、北朝の雄健な気骨を示し、薛道衡とともに唐詩の風の兆しを告げる。代表作の「従軍詩」は、唐代の辺塞(へんさい)詩の先駆をなし、安史の乱ののち玄宗が自ら歌ったことでも知られる。

[成瀬哲生]

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