白雲の(読み)シラクモノ

デジタル大辞泉 「白雲の」の意味・読み・例文・類語

しらくも‐の【白雲の】

[枕]白雲の立ち、または絶える意から、「たつ」「絶ゆ」に掛かる。
「―竜田たつたの山の滝の上の」〈・一七四七〉
「―絶えにしいもをあぜせろと」〈・三五一七〉

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精選版 日本国語大辞典 「白雲の」の意味・読み・例文・類語

しらくも‐の【白雲の】

① 白雲が立つというところからかかる。
(イ) 「立つ」と同音を含む地名「龍田(たつた)」にかかる。
万葉(8C後)六・九七一「白雲乃(しらくもノ) 龍田の山の 露霜に 色づく時に うち越えて 旅行く君は」
(ロ) 「立ち」「立ち別れ」などにかかる。
古今(905‐914)離別・三七一「惜しむから恋ひしきものをしらくもの立ちなむ後はなに心ちせむ〈紀貫之〉」
② 白雲は途切れるところから、「絶ゆ」にかかる。
※万葉(8C後)一四・三五一七「思良久毛能(シラクモノ)絶えにし妹をあぜせろと心に乗りてここば愛(かな)しけ」
③ 白雲が山に掛かるところから、「掛かる」と同音の「斯(か)かる」にかかる。雲がかかる意と掛詞(かけことば)になることが多い。
曾丹集(11C初か)「ゆめにてもおもはさりしをしら雲のかかるうきよにすまひせんとは」

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