田子の浦(読み)たごのうら

日本歴史地名大系 「田子の浦」の解説

田子の浦
たごのうら

駿河国の駿河湾に面した海岸。現在は富士川東岸の富士市田子の浦港の一帯をさすが、古代は富士川以西の現蒲原かんばら町・由比ゆい町・清水市興津おきつの海岸をさすとする説が有力とされる(静岡県史)。「続日本紀」天平勝宝二年(七五〇)三月一〇日条に「廬原郡多胡浦浜」とみえ、駿河守楢原造東人らは当浦の浜より得た黄金(練金一分・沙金一分)を献上している。この場合の廬原いおはら郡は富士川の西岸に位置し、現在の田子の浦港とは対岸の位置にある。「駿河志料」は前述の「続日本紀」の記事に続けて、蒲原宿(現蒲原町)の西に小金こがね村があり、同村の北の山に「昔黄金の花咲し」との伝承があると記している。「万葉集」巻三には山部宿禰赤人の「田児の浦ゆうち出でて見れば真白にそ不尽の高嶺に雪は降りける」の歌が載る。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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