瓢簞鯰(読み)ひょうたんなまず

改訂新版 世界大百科事典 「瓢簞鯰」の意味・わかりやすい解説

瓢簞鯰 (ひょうたんなまず)

歌舞伎舞踊曲名長唄常磐津。1828年(文政11)3月江戸中村座初演。七変化所作事《拙筆力七以呂波(にじりがきななついろは)》の一曲。演者は2世中村芝翫(4世中村歌右衛門)。作詞2世瀬川如皐(じよこう)。作曲10世杵屋(きねや)六左衛門,3世岸沢式佐。振付4世西川扇蔵,藤間大助ほか。じゅばん一枚の男が瓢簞で鯰を押さえようとする大津絵から題材をとった作品。しゃれのめした新内風のクドキを語ったり,ひょうきんで陽気な踊りである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の瓢簞鯰の言及

【ナマズ(鯰)】より

…地震や天候変化に敏感なため,地震を起こす力があるとか,地震の予知能力があるなどという伝承がある。安政の地震の際にはナマズがさわいだという記録があり,これをおさえているのが常陸鹿島神宮の要石(かなめいし)であるともいわれているが,ナマズを瓢簞でおさえること,つまり粘りがあるものを丸いものでおさえることの困難さを諷した〈瓢簞鯰〉から転じて,安定させることの困難なものとして地震が考えられ,それを生物化したものとして地震の発生をナマズに付会したとも考えられる。近世末の社会的動揺と江戸人のしゃれとが合体して生まれたものとみるべきであろう。…

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