琉球藩雑記(読み)りゆうきゆうはんざつき

日本歴史地名大系 「琉球藩雑記」の解説

琉球藩雑記
りゆうきゆうはんざつき

成立 明治六年

原本 国立公文書館内閣文庫

解説 一八七三年、大蔵省調べとしてまとめられた琉球藩の各種調査記録。一八七二年、明治政府は琉球王国を琉球藩として外務省の管轄下に置いたが、これを受けてまとめられた。内容は一が人口・戸籍(一)琉球藩職分総計、(二)琉球藩戸籍総計、二が段高・租税・物産(一)琉球藩所轄郷村高並収納辻その他、(二)琉球藩租税法其他市在制置調、(三)琉球藩管内物産表、三が家禄・官禄で(一)琉球藩臣家禄記、(二)琉球藩臣官禄記、四は(一)法条、(二)褒美条例、(三)約条、(四)教条、五が雑事・学校医院・社寺(一)琉球藩諸件調査冊、(二)学校之規則、(三)社寺旧記祭典之式となっている。全体として王国末期を反映した貴重な資料となっているが、琉球側からの提出資料に基づいてまとめたようで実態を反映していないものも多い。たとえば人口を総計一六万六千七八二人としているが、一八八〇年の沖縄県統計概表では三五万三千三七四人であり、沖縄県設置時の人口も三〇万前後とする資料が多い。一六万余の数値は王府時代、薩摩鹿児島藩へ報告した人数改の数値を受けたもので租税負担者(正頭)数と考えられる。また職分総計にみえる村名も乾隆年間初期の資料によっていると推測されるなど、概して王府時代同様に実態を伏せて表向きの資料を提出したと考えられる。

活字本沖縄県史一四

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報