玉倉部邑(読み)たまくらべのむら

日本歴史地名大系 「玉倉部邑」の解説

玉倉部邑
たまくらべのむら

坂田郡に所在した古代村落で、「日本書紀」の壬申の乱関係記事にみえる。同書天武天皇元年(六七二)七月二日条によると、これより以前の某日、「近江、精兵を放ちて、忽に玉倉部邑を衝く。則ち出雲臣狛を遣して、撃ちて追はしむ」とあり、最初の激突が玉倉部邑で行われている。この時の精兵は七月二日に犬上いぬかみ川のほとりに布陣した近江朝廷軍本隊からの派遣とみられているが、本隊では主導権をめぐり山部王と蘇我臣果安・巨勢臣比等が鋭く対立、大きく混乱しており、しかもこの戦闘の直後、近江朝廷側の将軍羽田公矢国とその子大人が一族とともに皇子側に投降、将軍出雲臣狛とともにこし経由湖西方面に向かっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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