玉の杯底無きがごとし(読み)たまのさかずきそこなきがごとし

精選版 日本国語大辞典 「玉の杯底無きがごとし」の意味・読み・例文・類語

たま【玉】 の 杯(さかずき)(そこ)(な)きがごとし

外見がきわめて美しく立派なものに、最も肝心な部分の欠けることのたとえ。
徒然草(1331頃)三「よろづにいみじくとも、色好まざらん男は、〈略〉玉の巵(さかずき)の当(そこ)なきここちぞすべき」 〔韓非子‐外儲説右上〕

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故事成語を知る辞典 「玉の杯底無きがごとし」の解説

玉の杯底無きがごとし

すばらしいが、重大な欠陥があるもののたとえ。

[使用例] 女性に宗教心のないのは「玉の杯底なきが如し」である。信心英知の目をみ開いた女性ほど尊いものはないのである[倉田百三*女性の諸問題|1934]

[由来] 「韓非子がいちょぜい・右上」に見える逸話から。紀元前四世紀、戦国時代の中国でのこと。韓という国の君主に、ある家臣が言いました。「ここにとても高価な『ぎょく宝石でできた杯)』があるのですが、底がないとします。これで水が飲めますか」。もちろん、答えはノー。するとこの家臣は、「いかに玉の杯とはいっても、水がれてしまうのでは、だれも飲みものを注ごうとはしませんよね。家臣が申し上げたことを他人に洩らしてしまう君主は、底のない玉の杯のようなものです」と言ったので、その後、この君主は、たとえ寝言であっても家臣からの提言を他人に洩らさないよう、注意するようになったということです。

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