猶猶・尚尚(読み)なおなお

精選版 日本国語大辞典 「猶猶・尚尚」の意味・読み・例文・類語

なお‐なお なほなほ【猶猶・尚尚】

[1] 〘副〙 (「なお(猶)」を重ねて強めた言い方)
① 「なお(猶)(一)①」を強めた言い方。やっぱりもとどおり。まだやっぱり。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「の給はせで心魂を惑はかさせ給ふ物かな。なをなを、かくことごとしき御心こそ世中に侘びしかりしは」
② 「なお(猶)(一)②」を強めた言い方。思い返してもやはり。是非。どうしても。
落窪(10C後)三「いとをかしき序に知られ奉らんこそ苦しき、との給へば、猶なほ、と申し給へば、鏡のしきをおしかへして書き給ふ」
③ 「なお(猶)(一)④」を強めた言い方。ますます。一段と。ずっと。さらに。
狭衣物語(1069‐77頃か)二「なをなを、いかなりし事ぞと、おぼつかなくゆかしきに」
※虎明本狂言・昆布柿(室町末‐近世初)「なをなをむつかしひ事をいふ」
[2] 〘接続〙 「なお(猶)(二)」を強めた言い方。さらに。加えて。手紙の追って書きに用いる。
※泉州久米田寺文書‐(年未詳)(鎌倉)五月二六日・足利尊氏書状「さう井なくいそき御さた候べく候、猶々とく御さた候べく候あなかしく」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉四「尚々別紙一通は兼頭様、一通は西内様へ其許持参呉れ呉れも御礼申し述べらるべく候」
[3] 〘名〙 「なおなおがき(尚尚書)」の略。
※雑俳・柳多留‐一二四(1833)「なをなをのやうに五六羽おくれ鴈」

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