物類品隲(読み)ぶつるいひんしつ

改訂新版 世界大百科事典 「物類品隲」の意味・わかりやすい解説

物類品隲 (ぶつるいひんしつ)

江戸中期の博物学書。平賀源内著。1763年(宝暦13)刊。平賀源内が師の田村元雄とともに1757年以来,5度にわたって開いた薬品会(物産会)の出品物,合計2000余種のうちから主要なもの360種を選んで,産地を示し解説を加えたもの。本文4巻,産物図絵1巻,付録1巻,計6巻からなる。第5巻の産物図絵は本文の中から珍品36種を選んで図示する。付録の第6巻は朝鮮人参および甘蔗の栽培法と精糖法を述べたもので,朝鮮人参および砂糖は海外の輸入に頼っていたので,自給により国益に資するというのが付録の目的であった。本文の分類法は《本草綱目》により,解説には同書のほか《天工開物》や《物理小識》が引用され,全体として中国本草学の影響が強い。しかし,オランダの博物図鑑によって品種を定め解説した個所や,オランダ博物学書の挿絵を写したと思われる個所があり,従来の本草学から西洋博物学に移行する過渡期所産とみることができる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報