牛津川(読み)ウシツガワ

デジタル大辞泉 「牛津川」の意味・読み・例文・類語

うしつ‐がわ〔‐がは〕【牛津川】

佐賀県中央部を流れる川。筑紫つくし山地西部に位置する八幡はちまん岳(標高764メートル)南斜面に源を発してほぼ東流し、杵島きしま白石しろいし福富ふくどみの干拓地域で有明海に注ぐ六角ろっかくに合流する。長さ約28キロ。うしづがわ。

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日本歴史地名大系 「牛津川」の解説

牛津川
うしづがわ

西多久町の北方、八幡はちまん岳中腹の猪鹿ちゆうろくを源とする鈴鹿すずか(一名猪鹿川)に、同町西南方の徳連とくれん岳に発する平山ひらやま(一名山尻やまじり川)を合わせて、多久盆地中央を西から東へ貫き、四囲の山から流れる支流を合わせ、東多久町裏納所うらのうそを経て牛津(小城郡)に至り、南に屈して六角ろつかく川と合流、すみ(小城郡芦刈町)に注ぐ。全長二九キロ。

昭和三三年(一九五八)納所から上流の多久町道祖元さやのもとまでの一三・八キロが国の直轄河川となり、その後行政的には、もと下流の名称であった牛津川の名を総称するようになる。それ以前は、現多久市内の二二・二キロは多久川と称していた。

南北の急峻な山地に発する支流の大きなものを上流北からみると、板屋いたや川(旧桜木さくらぎ川)・藤川内ふじのかわち川(一名松本まつもと川)・中通なかどおし川(下流にしん川あり)・今出いまで川・八幡はちまん川、南目みなみめの山筋から流れるものに、白仁田しらにた川(一名むかへ川)・桐野きりの川(旧馬髪まがみ川)・唐堀からほり川・かわら川内ごうち川・ささ(篠)ばる川(上流は花祭はなまつり川)などである。

多久川の呼称はそれほど古くはない。「水江事略」の天正元年(一五七三)の項に「這河はいごう」の名がみえ、当時のままの記録であればこの川の名として最も早い。これはのちに「這川」と書き、「ヒャーゴ」と訛って、多久町の北川辺りの地名となって今日も残っている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「牛津川」の意味・わかりやすい解説

牛津川
うしづがわ

佐賀県中央部を流れる川。玄界灘(げんかいなだ)斜面と有明海(ありあけかい)斜面との分水界に位置する八幡岳(はちまんだけ)(764メートル)に源を発し、有明海奥の干拓地域で六角川(ろっかくがわ)に合流する。延長約27キロメートル。途中、多久(たく)盆地各水系の水を集め、やがて多久市と小城(おぎ)市小城町の境界を南流して小城市牛津町地区に入るが、ここまではかつて多久川ともよばれた。鉄道開通前には舟運の便をもち、多久方面の米や石炭が川船で運ばれたが、とくに長崎街道と交差する牛津中心地付近は、水陸交通の要衝をなし、河港としてにぎわった。また、六角川河口から十数キロメートルも上流にありながら標高3メートル余で、典型的な感潮河川をなし、かつては水害頻発もみた。さらに下流低地を蛇行する流路は小城市芦刈(あしかり)町地区と同市牛津町地区、江北(こうほく)町との境界をなす。

[川崎 茂]

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