筑紫山地(読み)ツクシサンチ

デジタル大辞泉 「筑紫山地」の意味・読み・例文・類語

つくし‐さんち【筑紫山地】

《「ちくしさんち」とも》九州北部をほぼ北東から南西に走る山地。福岡・佐賀・長崎の3県にまたがる。平均標高400~900メートルで、最高峰福岡県・佐賀県境の背振せふり。地体構造上、西南日本内帯に属する。中国山地の延長上にあり、断層によって多くの山塊に分断されている。

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精選版 日本国語大辞典 「筑紫山地」の意味・読み・例文・類語

つくし‐さんち【筑紫山地】

九州北部を北東方から南西方に走る山地。最高峰は福岡・佐賀県境の背振(せふり)山(一〇五五メートル)。

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改訂新版 世界大百科事典 「筑紫山地」の意味・わかりやすい解説

筑紫山地 (つくしさんち)

〈ちくしさんち〉ともいう。おもに福岡,佐賀,長崎3県にまたがって北東から南西方向に走る山地。地体構造上,西南日本内帯に位置し,中国山地の延長上にある。中国山地が連続した山地であるのに対し,この山地は筑豊盆地,福岡平野筑紫平野などにより地塊に分断されている。北東から本州と対峙する企救(きく)山地,紫川の東側に位置する貫(ぬき)山地と西側に位置する福智山地,筑豊盆地と福岡平野の間の三郡山地,筑後川の南の耳納(水縄)(みのう)山地,福岡・熊本両県にまたがる筑肥山地,福岡・佐賀両県境の脊振山地,佐賀県から長崎県にかけての肥前山地総称である。これらの山地の多くは断層山地と考えられているが,まだ確認はされていない。地質大部分が中生層,古生層,花コウ岩類であるが,肥前山地では第三紀層上の厚さ約300mの玄武岩が台地を形成している。標高は大部分が1000m前後であるが,東の企救山地は最高598m(足立山),西の肥前山地は最高776m(国見山)である。企救山地から脊振山地にかけては標高約1000m,500m,300mの3段の浸食平たん面が形成されており,3回の間欠的な土地隆起があったことを示している。肥前山地の玄武岩溶岩の基底面は第三紀層を切る浸食平たん面であり,その高度は東で最も高く標高400mを超えるが西では海面の高さまでくだる。玄武岩溶岩の厚さがほぼ一定しているために山地全体が西に傾いている。南の耳納山地は北に直線的で急な斜面を,南には緩やかな斜面をもっているため,形態的には典型的な傾動地塊となっている。各山塊の周囲にはしばしば第三紀層の夾炭層が堆積しており,かつては筑豊,粕屋,唐津,佐世保の諸炭田を形成していた。また貫山地には山口県の秋吉台に続く石灰岩が分布し,典型的なカルスト台地である平尾台が位置しており,その周辺では香春(かわら)岳などに多数のセメント工場が立地している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筑紫山地」の意味・わかりやすい解説

筑紫山地
つくしさんち

九州の北部を東西に連なる山地。最高峰は脊振山(1055m)。平均標高 400~900mの低山性山地で,断層により脊振山地筑肥山地水縄山地三郡山地など多くの山塊群に分けられる。西日本内帯に属する山地で,花崗岩,中生層,古生層に古第三紀層が交じっている。古第三紀層のなかには石炭が埋蔵され,筑豊,福岡,唐津,佐世保の諸炭田が分布。東部の貫山(ぬきさん)は石灰岩の山地で,平尾台などのカルスト地形が発達している。一般に山地斜面は急であるが,山頂部に緩傾斜面をもち,諸山地の間には多数の平野や盆地がある。

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百科事典マイペディア 「筑紫山地」の意味・わかりやすい解説

筑紫山地【つくしさんち】

九州北部を北東〜南西に走る山地。おもに古生層とこれを貫く花コウ岩からなり,中国山地の延長にあたる。多くの河谷や盆地によって三郡山地,脊振山地などの地塊に分かれ,平均標高400〜900m,最高点は脊振山の1055m。古第三紀層は石炭層を含み,北部には平尾台などのカルスト地形がみられる。
→関連項目福岡[県]

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世界大百科事典(旧版)内の筑紫山地の言及

【筑紫山地】より

…〈ちくしさんち〉ともいう。おもに福岡,佐賀,長崎3県にまたがって北東から南西方向に走る山地。地体構造上,西南日本内帯に位置し,中国山地の延長上にある。中国山地が連続した山地であるのに対し,この山地は筑豊盆地,福岡平野,筑紫平野などにより地塊に分断されている。北東から本州と対峙する企救(きく)山地,紫川の東側に位置する貫(ぬき)山地と西側に位置する福智山地,筑豊盆地と福岡平野の間の三郡山地,筑後川の南の耳納(水縄)(みのう)山地,福岡・熊本両県にまたがる筑肥山地,福岡・佐賀両県境の脊振山地,佐賀県から長崎県にかけての肥前山地の総称である。…

【福岡[県]】より

筑後国筑前国豊前国【狐塚 裕子】
[モザイク状地形の風土]
 大分,熊本との県境一帯は浸食された溶岩台地で,英彦(ひこ)山釈迦ヶ岳など標高1000m前後のメーサやビュートが多数集まって県の最高部を形成し,遠賀(おんが)川,矢部川の水源をなす。その北西に,地帯構造上西南日本の内帯に属し中国山地の延長部に当たる筑紫(つくし)山地が広がる。筑紫山地は断層によって,東から西へ企救(きく)山地,貫(ぬき)山地,福智山地,三郡山地,佐賀県境の脊振(せふり)山地,南に耳納(水縄)(みのう)山地,熊本県境の筑肥山地など多数の地塊に分裂し,広い谷や盆地,平野を数多く介在させて複雑なモザイク状を呈している。…

※「筑紫山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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