爪甲白斑(読み)そうこうはくはん(英語表記)Leukonychia

六訂版 家庭医学大全科 「爪甲白斑」の解説

爪甲白斑
そうこうはくはん
Leukonychia
(皮膚の病気)

どんな病気か

 爪甲が白く見える状態を爪甲白斑といいます。爪甲白斑は点状、線状と爪甲全体が白くなる汎発型(はんぱつがた)の3つに分類されます。なお、本項では爪の解剖用語を用いるので、図104を参考にしてください。

原因は何か

 爪甲白斑は主に爪甲の不全角化(ふぜんかくか)という爪の成長異常によって生じます。また、爪甲のすきまに空気が入ることでもみられます。

症状の現れ方

①点状爪甲白斑

 最も普通にみられる爪甲の白斑で、爪母の近くに小さな点状白斑が現れ、その後爪の先端に移動し遊離縁に向かう途中で消えていきます。また、子どもおよび若年者に多くみられ、俗に、“幸運の星”などと呼ばれています。

②線状爪甲白斑

 幅1~2㎜の白い帯状の変化が1~数本爪甲に現れ、その白い帯状があたかも波打つように重なり合ってみられます。先天性(優性遺伝性)のものもありますが、多くは後天性です。

③汎発型爪甲白斑

 爪甲全体が不透明な白ないし乳白色になる状態です。多くは優性遺伝性であり、生まれた時または乳児期から始まります。

治療の方法

①点状爪甲白斑

 とくに治療の必要はありません。

②線状爪甲白斑

 原因となりうる、たとえば中毒砒素(ひそ)(なまり)など)、感染症(麻疹(ましん)肺炎など)、皮膚疾患乾癬(かんせん)円形脱毛症など)、そのほかの疾患(心筋梗塞(しんきんこうそく)腎不全など)、あるいは月経、手術、マニキュア使用などを確認し、それを除去ないし治療します。

③汎発型爪甲白斑

 とくに治療の必要はありません。しかし、爪の水虫爪半月の拡大など、あるいは肝硬変(かんこうへん)慢性腎不全糖尿病などの全身疾患でも爪は白くなり、汎発型爪甲白斑とよく似た外観を呈すので、注意して鑑別しなければいけません。

立花 隆夫


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典(旧版)内の爪甲白斑の言及

【つめ(爪)】より

…後爪廓(こうそうかく)の皮膚が赤く膨れるカンジダ性爪廓炎があると,つめは爪半月部から波をうって変形しもろくなる爪カンジダ症を生ずる。つめの色調の変化で,白くなるのを爪甲白斑といい,つめの角化異常によるもので,小範囲のものは病的ではない。帯状の黒褐色調の縦線がみられるときは爪母基に〈ほくろ〉のあることが多いが,悪性黒色腫による場合もまれにある。…

※「爪甲白斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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