然有・然・爾(読み)しかり

精選版 日本国語大辞典 「然有・然・爾」の意味・読み・例文・類語

しか・り【然有・然・爾】

〘自ラ変〙 (副詞「しか」にラ変動詞「あり」の付いた「しかあり」の変化した語)
① そうである。そのようである。その通りである。
万葉(8C後)五・八九二「日月は 明しといへど 吾(あ)がためは 照りや給はぬ 人皆か 吾(あ)のみや之可流(シカル)
漢文訓読で、文末の「爾」を「ことしかり」と読むのを流用した言い方。以上のごとくである。文末の「…(の)事」を受けて用いる。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「云ふこと爾(シカリ)
※歌謡・閑吟集(1518)序「命にまかせ、時しも秋の蛍にかたらひて、月をしるべにしるす事しかり」
[語誌]「しか」と同様、上代から用いられ、中古以降は漢文訓読系の文章を中心に用いられた。その用法は「しからば」「しかり」「しかるに」「しかるを」「しかれども」など多様であるが、多くは「然」「爾」「而」などの字を訓じて接続詞のように用いられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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