無翅類
むしるい
昆虫綱無翅亜綱Apterygotaのこと。昆虫のうち、もともとはねがなく、幼虫と成虫の形がほとんど変わらない原始的な虫の総称である。広く世界各地に産するが、ほとんどのものが陰湿な環境を好み、多くは落ち葉ないし腐植土の中にすみ、石下、洞穴内などにも発見され、ごく一部が日の当たる明るい場所にみられる。
この類は4目に分類されるが、近年は、それぞれを有翅類と並ぶ亜綱に格上げして扱うことが多く、初めの3類を昆虫綱から分離して扱うこともある。(1)トビムシ類 腐植土や落ち葉の中に多く、キノコ、樹上、洞穴にも少なくない。(2)原尾類 カマアシムシともいい、腐植土中に多い。体は微小である。(3)双尾類 ナガコムシとハサミコムシの2群からなり、石下、土壌中にすみ、細長く、体長1センチメートル前後のものが多い。(4)総尾類 シミ、イシノミの2群があり、別の目とされることもある。落葉中、樹幹、岩や石の表面、家屋内などに発見される。
[中根猛彦]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
無翅類
むしるい
Apterygota; apterygote
無翅亜綱に属する昆虫の総称。有翅類に対するもので,下等な昆虫類と考えられる。無翅であるが,本来あった翅が退化したのではなく,翅の未発達な原始的な状態のまま今日にいたったものである。変態はせず,しても不明瞭なものが多い。顕著な特徴として,交尾器や尾角以外に腹脚の変形した器官をもつことがあげられる。トビムシ類,カマアシムシ類,コムシ類,イシノミ類およびシミ類を含むが,シミ類を除きいずれも土壌表面や土壌中にすむ微小な類で,一般に目につきにくい。またこれら5類の間の違いは著しい。前3者の咀嚼口器は外部から見えず (内顎類) ,一方,後2者はそれが外部から見え (外顎類) ,この点で大きく2つのグループを形成する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
むし‐るい【無翅類】
〘名〙 昆虫のうち、成虫になってもはねを持たず、幼虫と成虫の形にほとんど差のない原始的なものの総称。
地表から土壌の表層部に見られる。
トビムシ、シミなどを含む。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報