火山‐深成コンプレックス(読み)かざんしんせいこんぷれっくす(英語表記)volcano-plutonic complex

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

火山‐深成コンプレックス
かざんしんせいこんぷれっくす
volcano-plutonic complex

地質学におけるコンプレックス地層岩石の集合体)の一種。火山岩深成岩岩脈などが複雑に分布する岩石の集合体で、共通マグマの活動により形成された複合岩体。マグマの活動が盛んであった地域では、噴火によって流れ出した流紋岩などの火山岩、花崗斑岩(かこうはんがん)などの岩脈類、花崗岩などの深成岩が、共通のマグマからほぼ同時期に形成されている。

 代表的な例として、宮崎県から大分県にかけての秩父帯(ちちぶたい)・四万十(しまんと)帯に分布する新第三紀の大崩山火山‐深成コンプレックス(おおくえやまかざんしんせいこんぷれっくす)(複合岩体)がある。これは、祖母山(そぼさん)‐傾山(かたむきやま)火山岩類、大崩山花崗岩、そして大規模な環状岩脈などからなり、新第三紀中新世に噴火していた一つの火山の火成活動の結果として形成されている。火山岩類の一部は、花崗岩質マグマの貫入により接触変成作用を受けている。環状岩脈は、平面的に見るとリング状に分布しているが、これは大規模な火砕流噴火に伴ってマグマ溜(だま)りに空洞ができ、その上部が陥没して、下にやや開いた円筒形間隙(かんげき)にマグマが貫入して形成されたものである。

[村田明広]

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