流通費用(読み)りゅうつうひよう(英語表記)distribution costs

日本大百科全書(ニッポニカ) 「流通費用」の意味・わかりやすい解説

流通費用
りゅうつうひよう
distribution costs

商品の流通に要するいっさいの費用。配給費用ともいう。計算的には、消費者価格と生産者価格の差としてとらえられるが、内容的には、売買費用、保管費用、運送費用、流通業者の利益などから構成される。売買費用は、売買機能に直接関連する費用であり、広告宣伝費・販売促進費・通信費・交通費・事務費のような売買経費、販売員給料のような売買人件費などからなる。保管費用は、商品の時間的効用を増大させるための費用であり、倉庫容器・施設など保管手段に要する物件費、保管に関する労働のための人件費などからなる。運送費用は、商品の場所的(空間的)効用を増大させるための費用であり、車両船舶など運送手段に要する物件費、運送に関する労働のための人件費などからなる。近時、物価上昇や流通革命に関連して、流通費用の低減が課題となり、大規模店、コンテナ輸送などの合理化が図られている。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「流通費用」の意味・わかりやすい解説

流通費用
りゅうつうひよう
costs of circulation; Zirkulationskosten

マルクス経済学用語の一つで,生産された商品が生産者の手から離れ,消費者の手に渡るまでにかかった費用。すなわち商品の流通過程で生じた費用。次の2つが含まれる。 (1) 売買に直接結びついたもので,商品の価値を実現するためにのみ生じる費用。これは商品を貨幣に,貨幣を商品にというように,その形態転化に必要な費用であって,売買の促進,流通期間短縮のために必要ではあるが,新しい価値を生み出さない空費である。いわゆる純粋流通費用がこれであり,売買時間,簿記,貨幣の3費用が含まれる。 (2) 商品の包装,保管,運輸などに結びついた費用。これは一見流通過程から生じるようにみえるが,実際は流通過程に延長された生産過程から生じる費用で,純粋な流通費用とは異なり商品価値の追加とみなされる。

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