洗剤汚染(読み)せんざいおせん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「洗剤汚染」の意味・わかりやすい解説

洗剤汚染
せんざいおせん

河川の発泡現象など,合成洗剤による環境汚染。石油化学工業発達とともに,家庭用洗剤としてABSなどの合成洗剤が多用されるようになったが,自然界に流入しても分解しにくいことから,環境面で問題が生じた。そこで分解性がよいとされる「ソフト型」の LAS (linear allaylbengene sulfonate) へ切替えられ,河川の発泡現象などは以前に比べて少くなったが,環境に及ぼす影響は依然として大きく,生活排水対策が重要課題となっている。毒性は炭素量の大きさに比例する。魚が鰓 (えら) を界面活性の作用でおかされ,酸素の取入れができなくなって致死するほか,水生昆虫など多くの生物が影響を受けている。また,洗浄効果をあげるため多量に添加されているリン酸塩類が河川および河川流入域沿海の富栄養化を引起し,赤潮や水の華など2次汚濁の主要原因ともなっている。合成洗剤に対する具体的対策は,1980年に滋賀県が琵琶湖の富栄養化防止条例により,合成洗剤の琵琶湖流域での販売を禁止する措置を実施したことから全国的な関心を集め,ほとんどの都道府県など地方自治体が対策を打出した。

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