日本大百科全書(ニッポニカ) 「水質」の意味・わかりやすい解説
水質
すいしつ
水が不純物を含むことによって生ずる質的・量的特性をいう。純粋の水はH2Oの化学式で表されるように、水素と酸素が結合したものであるが、自然界における水はさまざまな不純物を含んでおり、その組成は複雑である。たとえば、純粋な水は大気と接しただけで、0℃、1気圧の下で容積比で2%の窒素、1%の酸素(同位体酸素)、0.5%の炭酸ガス(二酸化炭素)を含んでいる。また、雨水の場合には、このほかにナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらに岩石や土壌を通り抜けた地下水の場合は、これまで述べた物質のほかにケイ酸、重炭酸、鉄、マンガンなどが含まれる。河川や湖沼の水になると、溶解物質に加えて粘土粒子や細菌、微生物などが含まれる。
なお、海水は1キログラム中に35グラム程度の塩分を含んでいるが、汚濁された場合には、多量の有機物やさまざまな重金属が認められるようになる。
人間生活において、水はさまざまな形で利用されるわけであるが、その利用目的によって要求水質も異なってくる。この水質をあらかじめ知るためにとられるのが水質分析、水質試験であり、水質検査である。水質分析、水質試験とは、水に含まれている不純物を分析・測定して、その質や量を明らかにするものであり、水質検査とは、この結果を一定の基準に照らして、適・不適の判定を行うことである。
[重田定義]