死身（読み）しにみ

精選版 日本国語大辞典

しに‐み【死身】

〘名〙

① 死んだ体。⇔生身(いきみ)。

② 死ぬと決まった身。死ぬべきからだ。

※浄瑠璃・心中刃は氷の朔日（1709）中「いき身はしに身、もしひょっとしに病請たり共」

③ 死ぬ覚悟をしたからだ。決死の身。捨て身。

※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節（1707頃）夢路のこま「与作も名有弓取の家に生れしきしつとて、きっとしに身にどうすはり」

④ 死んだように生気のないこと。生きた心地もないこと。ひじょうに活気のないこと。

※咄本・鹿の子餠（1772）雷「かみなりきびしく鳴に、〈略〉死身(シニミ)に成てひれふせば」

⑤ 能楽で、面をつけて少し上をむいた姿勢。面がその効果を発揮できなくて死んで感じられる姿勢。

※わらんべ草（1660）二「まへへうつむくを、かかると云、あをのくを、のくと云、てる共云、かかるはいき身、のくは死身也」

出典　精選版 日本国語大辞典