次亜塩素酸(塩)(読み)ジアエンソサン

化学辞典 第2版 「次亜塩素酸(塩)」の解説

次亜塩素酸(塩)
ジアエンソサン
hypochlorous acid(hypochlorite)

酸:HClO(52.46).水溶液としてのみ存在する.25% 水溶液は黄緑色.塩素の水溶液中にも存在する.一酸化水銀(Ⅱ)を水中に懸濁させ,これに塩素気体を通した後,低温で濃縮すると25% 水溶液が得られる.-40 ℃ では,HClO・2H2Oの固体が得られる.弱酸性で,pK 約7.49(20 ℃).-20 ℃ では数日間保存しうるが,室温では徐々に分解して,HCl,O2,HClO3を生じる.分解は光,熱で促進される.酸化力が強く,S,H2SはH2SO4に,P,PH3はH3PO4に,H2O2は O2 に,Br2,HBrはHBrO3に酸化される.有機化合物の多くも酸化される.殺菌剤に用いられる.[CAS 7790-92-3] 
塩:アルカリ金属,アルカリ土類金属の塩は比較的安定で,次亜塩素酸カルシウム次亜塩素酸ナトリウムは,無水物または数種類の水和物として固体が得られる.重金属塩は一般に不安定である.いずれも酸化力が強く,Ca,Na塩は漂白殺菌に用いられる.[CAS 7681-52-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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