日本大百科全書(ニッポニカ) 「楽所(がくそ)」の意味・わかりやすい解説
楽所(がくそ)
がくそ
宮廷の儀礼音楽をつかさどる機関。「がくしょ」ともいう。元来、宮中の桂芳(けいほう)坊の一画を利用して雅楽寮の楽人(がくにん)を控えさせる詰所であったが、948年(天暦2)正式に楽所と命名され、鳥羽(とば)天皇(在位1107~23)のころ確立された。これにより雅楽をつかさどる機関は実質的に雅楽寮から楽所に引き継がれ、雅楽はしだいに国家の荘厳(しょうごん)から宮廷の娯楽としての性格を濃くしていく。蔵人頭(くろうどのとう)や別当である「別当」、五、六位の蔵人である「預(あずかり)」と多くの専属の楽人からなり、これらの成員は毎年「楽所補任(がくそぶにん)」に登録された。応仁(おうにん)の乱(1467~77)で宮中の楽人は離散して楽所は衰滅した。
[橋本曜子]
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