植別川遺跡(読み)うえべつがわいせき

日本歴史地名大系 「植別川遺跡」の解説

植別川遺跡
うえべつがわいせき

[現在地名]目梨郡羅臼町峯浜町

知床しれとこ半島東岸の基部を流下する植別川河口左岸の低位段丘上(標高一〇メートル)に位置し、国道三三五号の改良工事に伴って昭和五五年(一九八〇)発掘調査された。縄文時代中期以降、続縄文・擦文・アイヌ文化の各時代にわたる遺構遺物が検出されている。なかでも続縄文期の二基の墓のうち、二号墓と称するものからは、北海道東部地方の続縄文期初頭に位置する興津式土器・琥珀玉石斧などの副葬品とともに、鉄製の小刀とその鞘、もしくは柄の装飾に用いられていたと思われる三点の銀片が確認された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「植別川遺跡」の意味・わかりやすい解説

植別川遺跡
うえべつがわいせき

北海道目梨郡羅臼町にある続縄文時代の遺跡。国道の拡幅工事に伴い事前調査された。遺跡は続縄文時代前半の土壙墓が中心。このうち一つの墓で,鉄製の刀子についていた長方形の銀の小片4個が発見された。これは日本列島最古の銀製品であり,本来は鞘についていたものと考えられる。墓も遺体の上に礫を盛上げた特殊な構造で,続縄文土器も副葬されている。特殊な墓のつくりと銀製品は,人々が大陸から北回りで知床半島にやってきたことを示している。

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