棚引(読み)たなびく

精選版 日本国語大辞典 「棚引」の意味・読み・例文・類語

たな‐び・く【棚引】

(「たな」は接頭語か)
[1] 〘自カ五(四)〙 雲や霞などが薄く層をなして横に長く引く。とのびく。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「其(そ)れ清明者(すみあきらかなるもの)薄靡(タナヒキ)(別訓 かすみなひき)て天(あめ)と為(な)り」
日葡辞書(1603‐04)「ハタガ tanabiqu(タナビク)
[2] 〘他カ四〙 長く集め連ねる。なびかせる。
平家(13C前)三「数千騎の軍兵をたなびいて、都へ入給ふ由聞えしかば」
[補注]語構成については、「た━なびく(靡)」で、動詞「靡(なび)く」に接頭語「た」を冠したものとも、「たな━ひく(引)」で、タナは、トノと語源的に通じる接頭語であって、十分の意ともいわれる。用例文脈から推すと、後者妥当か。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android