デジタル大辞泉
「桟」の意味・読み・例文・類語
えつり【▽桟】
1 茅・わらなどで葺く屋根の下地として、垂木の上に並べ敷いた細い竹やアシなど。瓦葺きなどの屋根下地にもいう。
2 壁の下地に組んだり、土蔵の柱の外側に渡した板に取りつけたりする木舞。
3 茶室などで、木と竹とを交互に並べた化粧垂木。桟竹。
さん【桟】
1 戸・障子などの骨組み。
2 板が反るのを防ぐために、打ちつけたり差し込んだりする横木。
3 土台や梯子などに渡す横木。
4 「猿3」に同じ。「桟を下ろす」
さん【桟〔棧〕】[漢字項目]
[常用漢字] [音]サン(漢) [訓]かけはし
険しいがけなどに、架け渡した橋。かけはし。「桟道」
[難読]桟敷
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さん【桟】
〘名〙
① 板または蓋(ふた)などのそるのを防ぐために打ちつける細長い横木。
※
太平記(14C後)三〇「一枚楯の裏の筭
(サン)を繁く打て、階の如く拵らへたりければ」
② 戸、障子などの骨。
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈
夏目漱石〉五「忽ち障子の桟の三つ目が雨に濡れた様に真中丈色が変る」
③ 板戸、
雨戸などの
戸締りのための木のせん。さる。
※坑夫(1908)〈夏目漱石〉「
中庭の小窓を明けて、手を洗って、桟を卸すのを忘れて」
④ 木を組み合わせてかけわたした棚(たな)。
⑥ 木をかけわたして作った道。かけはし。桟道。
しぎ【桟】
〘名〙
近世の
牛車(ぎっしゃ)の
乗り降りに用いるはしご。古くは榻
(しじ)を用いたが、近世は車が大きく箱が高くなったため、榻は
頸木(くびき)の台として、乗り降りにはこれを用いるようになった。
※謙亭筆記(
古事類苑・器用二八)「一、車のしぢとはいかなる物を申候哉、答、車のしぢ、くびきをもたすものを申候、
しぎは車よりおり申候時のはしごにて候」
え‐つり【桟】
〘名〙
① 割り木、竹などを縄で結び、並べて、屋根や壁の下地としたもの。
※書紀(720)顕宗即位前「取り置ける蘆雚は、此家長の御心の平なるなり〈蘆雚、此をば哀都利(エツリ)と云ふ〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
桟
かけはし
木曾の桟は古くから歌枕として世に知られ、
<資料は省略されています>
など、多くの歌によって名高く、木曾路の橋としても歌に詠まれる。長野県歌「信濃国」にも歌いこまれている。
「信府統記」に「総てそば橋を桟という、その中にも別して掛橋と称するは福島と上松の間、板敷野村とやよひ沢の中程なり、是をとどめきの橋と云、(中略)福島より三留野までの間、所々に岨橋あり、らてんの橋といふも其内なり」とあるように、木曾は山間嶮岨の地であるから通路にあたる嶮崖には幾つもの桟が架けられていたもので、それが当時の旅行者によって都人に知られて、歌枕となったものである。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
桟
さん
戸や板などの板面の片側だけに出ている細長い木のことで、表裏両面に現れているものを框(かまち)とよび区別する。本来は盾(たて)や板、蓋(ふた)などの裏面に打ち付け、板の反るのを防ぐために用いた。現在では障子の骨および戸障子の框の間に組み入れる細長い材をも桟とよぶ。上桟、中桟、下桟、腰桟、胴桟、肘持(ひじもち)桟、襷(たすき)桟、繁(しげ)桟、吸付き桟などがある。また、縦方向のものは縦桟、横方向のものは横桟と称する。このほか、戸締り装置の一種で、戸の框や桟に取り付けてある細長い木片(猿(さる)という)や、和船の舵(かじ)の矧板(はぎいた)と身木を両面から挟み込んで強固に結合するとともに、矧板を補強する材を意味することもある。
[中村 仁]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例