根栽農耕(読み)こんさいのうこう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「根栽農耕」の意味・わかりやすい解説

根栽農耕
こんさいのうこう

紀元前1万 3000年頃,東南アジアの湿潤地帯においてタロイモ,ヤムイモ,バナナなどの栽培によって始った原始的な農耕。これは焼畑を基本とし,生産力が低く,人口支持力も大きくない。これに対して紀元前 5000年頃西アジアで起った穀物農耕は,農業技術の発達により,焼畑から常畑への進展がみられた。このような農業の集約度の向上は,定着的な村落基盤に都市や国家形成を促した。世界の農耕を発生系統によって分類すると,根や茎を土に埋めて栽培する根栽農耕と種子をまいて栽培する穀物農耕では,それぞれ異なった特徴をもった農耕文化がみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の根栽農耕の言及

【農具】より

…〈環境―作物―農具〉の相互関係に注目して,世界の四つの基本的農耕類型における主要農具について述べる。
[根栽農耕]
 一年を通じて高温多湿な湿潤熱帯に広く分布する農耕で,ヤムイモ,タロイモなどの各種のいも類,バナナなどの樹木作物を主作物とする。根栽農耕の主要農具は掘棒であり,新旧両大陸の同農耕地帯全域に広く分布している。…

【舟∥船】より

…人や物を乗せて水上を渡る乗物。これが一般的な定義であるが,現在では水面下を行動する潜水船や,空気圧によって水面上を浮上して走行するエアクッション船もあり,これらも広く船に含めている。慣例では,大型のものには〈船〉,ごく小さいものには〈舟〉を用いるのがふつうである。なお,法規上は〈船舶〉という語が使われる。
【船の歴史】
 ごく初期の舟には,大別して三つの構造様式がある。それは(1)丸木舟,(2)いかだ,(3)動物の革(皮)の舟である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」