松上神社(読み)まつがみじんじや

日本歴史地名大系 「松上神社」の解説

松上神社
まつがみじんじや

[現在地名]鳥取市松上

坂根さかね集落の南にある高松たかまつ山中腹に鎮座祭神は国常立尊。旧県社。創建年代は不明だが、社伝では応神天皇一六年の創建といい、貞元元年(九七六)野坂長者(千間之助国重)が天台座主を招いて比叡山との関係が始まり、寛和元年(九八五)慈恵大師良源が大日阿弥陀・観音を合祀し三所大菩薩と称したという(県神社誌)。この所伝を傍証する史料は皆無だが、当社の建武五年(一三三八)四月一日付の鐘銘(因幡民談記)に因幡国野坂のさか郷松上大菩薩とみえ、別当僧円憲の存在が知られる。天台密教系の地方宗教拠点の一つであったと思われる。戦国時代末期には、因幡国内でも有数の大社であったらしく、吉川元春(八通)・吉川元長(一通)・毛利輝元(一通)らの書状によると、元春らは祈祷を依頼するとともに、武具・馬・銭貨などを寄進し名代を参詣させ、神官大畠氏も吉川氏らと深いつながりをもとうとしていた(因幡志)。これらの書状のなかには、天正三年(一五七五)または同八年の吉川元春の因幡遠征時のものと推定できるものがある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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