東秩父(読み)ひがしちちぶ

改訂新版 世界大百科事典 「東秩父」の意味・わかりやすい解説

東秩父[村] (ひがしちちぶ)

埼玉県西部,秩父郡の村。人口3348(2010)。秩父山地の東縁に位置し,荒川の支流槻(つき)川の上流域を占める。村域の大部分山林である。秩父市とは定峰峠で通じるが,自動車道路は1955年になって開通したもので,経済的・行政的には東接する小川町や東松山市とのつながりが強い。かつては養蚕とともに木炭手すき和紙の生産が盛んで,特に和紙小川和紙の発祥地といわれ,江戸時代末までは生産の中心地であった。山間斜面ではコンニャクや茶,シイタケが生産される。花卉栽培も行われる。北部長瀞玉淀県立自然公園に指定され,南部の堂平(どうだいら)山(876m)には国立天文台堂平観測所がある(2000年閉鎖)。村立文化財収蔵庫には手すき和紙用具(重要民俗文化財)が展示されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報