有有・在在(読み)ありあり

精選版 日本国語大辞典 「有有・在在」の意味・読み・例文・類語

あり‐あり【有有・在在】

[1] 〘副〙 (ラ変動詞「あり(有)」を重ねて副詞化したもの。多く「と」を伴って用いる)
① 現実のあるままをはっきりと。あるがままに。または、あるべきさまを模して真実らしく。もっともらしく。
(イ) 言葉に表わす場合。
※中華若木詩抄(1520頃)上「ありありと、作た詩也」
(ロ) 心に浮かべたり、形に表わしたりする場合。また、非現実のことが、あたかも現実のように見えたり、思えたりすることにもいう。
四河入海(17C前)一一「画図花には香はないものなれども、余り見事にありありとかいた程に、香もあるかと思ぞ」
※黴(1911)〈徳田秋声〉四八「母親のおろおろした姿が、ありあり浮ぶやうであった」
物事の状態や特色が、はっきりと現われているさま。あきらかに。明瞭に。
御伽草子・草木太平記(有朋堂文庫所収)(江戸初)上「鞠の如く肥えたる馬に沓をかけ、ありありと出でられたり」
[2] 〘名〙 あったとおりのこと。ありのまま。
※われから(1896)〈樋口一葉〉一〇「彼の男の事で御座りますから、真面目(まじめ)な顔でありありを言ひましたを」

ありあり‐し【有有・在在】

〘形シク〙 (ラ変動詞「あり(有)」を重ねて形容詞としたもの)
実際にあったとおりのさまである。ありのままである。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「心ふかく、おとなのやうにおはすれば、ありありしうは、よにのたまはじ」
② 当然あるべきさまである。そのものにのぞましい様子である。
※花屋抄(1594)「よついたるよのつねめきて、ありありしき事也」
③ さもほんとうらしい。もっともらしい。
信長公記(1598)一二「此儀尤と同心せしめ、ありあり敷く云へば、若気故実(まこと)と思ひ、かくのごとく候や」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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