普門館(読み)ふもんかん

知恵蔵 「普門館」の解説

普門館

宗教法人立正佼成会が所有する、東京都杉並区にある多目的ホール。1970年完成。館内ホールの舞台は国内最大級で幅約34メートル、収容人数5000人。その広さから、主に中学・高校部門の吹奏楽の全日本コンクールの舞台として使われてきた。コンクールは72年より、工事などで使用できない年以外、毎年普門館で実施されており、そのため吹奏楽の聖地として知られる。また、約1万団体、40万人が参加し、その中で全国大会に進める中学・高校は各29校だけという難関となっていることから、普門館は「吹奏楽の甲子園」とも呼ばれる。
70年、美空ひばりや森進一がこけら落とし公演を開催。その後も音楽以外でも各種のイベント、公演などに幅広く利用されている。会場が広く、音楽専用ホールとしてつくられたわけではないため、音の反響が良くないという評価もある。77年にヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の日本公演が行われたが、79年に再来日公演が行われた際に、カラヤン自身がドイツの音響アドバイザーに反響板の変更を依頼したこともあった。
普門館の「普門」とは、法華経の中に出てくる言葉で、全ての人に門を開くという意味。デザインも法華経に由来しており、真上から建物を見ると、自然の調和など「和」の精神を大切にする信仰姿勢を表す2つの円を重ね合わせた形をしている。また、屋上には3本の鉄塔が建っているが、これは三法印という教えを表現したもの。28本の外柱と28枚の外壁は法華経の経典が28品(ほん)から成り立つことを示しているという。また、舞台上で顔が映えるようにと、舞台床が黒色なのも有名。
2012年より耐震性能に問題がみられ、改修のため使用を中断していたが、13年11月に立正佼成会が耐震改修や建て直しを断念したため、今後の使用はできなくなった。

(富岡亜紀子  ライター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「普門館」の解説

普門館

宗教法人「立正佼成会」が所有する多目的ホール。1970年、東京都杉並区の立正佼成会本部敷地内に完成した。舞台幅約34メートル、客席数約5千席と、音楽ホールとしては国内最大級の規模を誇る。72年に全日本吹奏楽コンクールが開催され、77年以降はほぼ毎年、中学・高校の部の会場として使用されてきたことから、「吹奏楽の甲子園」と呼ばれ、親しまれた。世界的指揮者カラヤン率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の公演など、国内外の音楽家による大規模なコンサートが開催されたことでも知られる。2012年、大規模な地震により天井崩落の危険があることが判明。以降、教団により使用中止の措置が取られ、存続に向けた検討が進められてきたが、13年、耐震改修や建て直しを断念することが発表された。

(2013-11-18)

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