星光寺縁起(読み)せいこうじえんぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「星光寺縁起」の意味・わかりやすい解説

星光寺縁起
せいこうじえんぎ

室町時代の絵巻。2巻。東京国立博物館蔵。重文。京都・星光寺の創建の由来と、本尊地蔵菩薩(ぼさつ)の霊験譚(たん)を説いたもの。絵は土佐光信(みつのぶ)、詞(ことば)は三条西実隆(さねたか)の筆と伝えるが確証はない。山城守平資親(やましろのかみたいらのすけちか)が1231年(寛喜3)亡母追福のため、京都・東山の草むらに露仏となっていた地蔵菩薩の像を持ち帰り、これを祀(まつ)って伽藍(がらん)を建立し星光寺と名づけたという経緯と、その地蔵菩薩にまつわる数々の利生(りしょう)が述べられる。作中の一つ、筆売りの尼が大風で家を損じたとき、地蔵の霊験で屋根を修理してもらった話が有名で、一名「屋根葺(やねふき)地蔵」ともいわれている。

[村重 寧]


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