新酒番船(読み)しんしゅばんせん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新酒番船」の意味・わかりやすい解説

新酒番船
しんしゅばんせん

江戸時代に,菱垣廻船新綿番船にならって,樽廻船が行なった新酒の輸送レースで,毎年 11月頃伊丹,灘など関西産の新酒を積んだ廻船を,大坂西宮の樽廻船問屋 14軒が1隻ずつ仕立て,西宮-江戸間を競争で輸送したもの。その始りは,樽廻船仲間が成立した享保 15 (1730) 年直後で,大坂と西宮から同時刻に出帆して江戸到着を競ったが,のちには西宮出帆に統一された。航海は5日前後で走るのが普通で,速いときは 58時間つまり2日半足らずで走破している。新綿番船とならぶ年中行事として,大坂と江戸の人気を沸せていた。

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世界大百科事典(旧版)内の新酒番船の言及

【番船】より

…当時の人々はこのレースに賭をし,人気を集めた年中行事であった。綿の場合は新綿番船といって,大坂菱垣廻船問屋によって菱垣廻船が仕立てられ,酒の場合は新酒番船と称して,大坂・西宮の樽廻船問屋によって樽廻船が仕立てられた。その始まりは,新綿番船は遅くとも元禄年間(1688‐1704)と推定され,新酒番船も樽廻船が菱垣廻船から分離独立した1730年(享保15)以前に行われていた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」