教育技術(読み)きょういくぎじゅつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「教育技術」の意味・わかりやすい解説

教育技術
きょういくぎじゅつ

教育技術は教育の目的を達成するための手段、方法である。その意味では教育技術は教育方法と同義語として理解される。教育技術ということばが広く用いられるようになったのは第二次世界大戦以後で、それ以前にはこれに相当するものとして、教授法が一般に用いられていた。

 現在、教育技術には狭義広義の二つの概念がある。前者は、単元の取扱い方、授業の展開、授業技術、問題解決の方法、学習指導法などのように、実際的かつ具体的な教授法や学習指導法をさす。しかし、人間の全人的発達を目的としている学校教育においては、その手段としての教育技術は、単に教授・学習の方法ばかりではなく、次の領域を含めた、より広い意味に使われることも多い。

 (1)教育の目的に応じて教えるべき内容を選択し、選定した内容を体系的に配列する教育内容の選択と構成の方法。(2)選定された内容の教授ならびに学習指導の方法。このなかには学習指導の展開に伴って生じる学習活動や集団づくりなども含まれる。(3)特別活動、しつけや生活態度の教育、子供の理解、教育相談など、一般に生活指導といわれている分野の指導の方法、などである。

 こうした狭義と広義の教育技術について多くの人々によって、いろいろな概念づけが試みられているが、まだ一致した定義が得られるまでには至っていない。

[寺川智祐]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「教育技術」の意味・わかりやすい解説

教育技術
きょういくぎじゅつ

教育の目標を達成するために用いられる方法,手続きの体系。個々の具体的な実践過程から抽出された客観的な体系であり,また個々の活動を支える原理を提供する。学習指導,生活指導,教育評価,学級経営など教師の教育活動の諸側面についての方法,手続きに限定されて解釈されることが多いが,学校経営,教育行政などの技術も開発されてきた。電子工学の発展などにより,教育に理工学的なシステム概念が導入されるとともに,各次元の教育技術の探究を課題とする教育工学が提唱されるようになった。

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